「デトロイト美術館展」
2015年下半期に読んだ本ベスト10
今年の残すところあと数時間、年越しそばも食べたしあとは紅白観て寝るのみです。が、ちょっと待った。タイトルのとおり、上半期は書いといて下半期は無しなのも気持ちが悪い。半端なままでは年が越せない!ということで今年のラスト更新で締めくくるとします。
10位 『リベラルアーツの学び方』
リベラルアーツの学び方 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
- 作者: 瀬木比呂志
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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上半期でもご紹介した瀬木先生の本ですが、その底なしの教養のタネが惜しみなく明かされているのが本書です。
9位『幸せはどこにある』
若い精神科医が幸せを探しに旅に出るお話で今年映画化もされました。絶版で中古だとかなりのお値段なので諦めていたら、今年伽鹿舎という九州の出版社が新訳で限定配本すると知り、買ってしまいました。
8位『ヨーロッパ精神史入門』
ヨーロッパ精神史入門――カロリング・ルネサンスの残光 (岩波人文書セレクション)
- 作者: 坂部恵
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/10/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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学生のとき図書館で借りた本を再び手にとってみました。西洋思想史ではお決まりの古代−中世−近代で区切る見方から離れ、カロリング朝時代を境に古代と近代に分かれるという斬新な構想ですが、難しすぎず読みやすい。
7位『君の働き方に未来はあるか?労働法の限界と、これからの雇用社会』
君の働き方に未来はあるか? 労働法の限界と、これからの雇用社会 (光文社新書)
- 作者: 大内伸哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/01/17
- メディア: 新書
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労働・雇用のあり方は近い将来変わっていくはず、いや変わらないと持たないと思います。そんな中、若者として、労働者として身につけておくべきことは何なのだろうとヒントを求めて読みました。
6位『ルネサンスとは何であったのか』
上半期に引き続きルネサンスは探求テーマの一つでした。来年はイタリア旅行に行くので観光スポットの予習にもなりました。
5位『仁義なきキリスト教史』
キリスト教の宗派をヤクザの組に例えて、誕生から普及の歴史を分かりやすく解説。イエス兄ぃの男気に思わずニヤけてしまいますが、キリスト教の信仰心とコミュニティの関係は、ヤクザの世界における義理と人情/組への忠誠心と理解すると意外と腑に落ちました。
4位『何者』
大学生の自意識、就活と自分探し、SNS。必死な周囲の人達をどこか斜にかまえて冷静に観察する意識低い系の主人公がラストに受けるどんでん返しがある意味ホラーです。
3位『若い読者のための世界史 上・下』
若い読者のための世界史(上) - 原始から現代まで (中公文庫)
- 作者: エルンスト・H・ゴンブリッチ,中山典夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/04/21
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歴史が物語のように紡ぎだされ、ある出来事が意味を持ち、人物が生き生きと動き出す。世界史が苦手だった高校の頃の自分に読ませたい本です。
ルネサンス期、時の教皇アレッサンドロ6世を父にもつチェーザレ・ボルジアが主人公。あのマキャベリが理想の君主として取り上げるほどに、権謀術数を駆使し利用できるものは容赦なく利用する政治の天才でありながら、現実と向き合って行動し続ける姿は嫌な政治家像とは全然違ってかっこいい(しかもイケメン)。
1位『新カラマーゾフの兄弟』
カラマーゾフの兄弟の翻訳者である亀山先生による現代版カラマーゾフ。今も読んでる(上巻が終わるくらい)んですが、これはヤバイです。カラマーゾフに挫折した人はトライしてみることをお勧めします。
以上です。趣味の年間ベストは展覧会とか映画とかお酒とか他にも色々やりたかったですがあと僅かで今年が終わるのでこんなところにします。来年はもっと知識でも経験でも「蓄積」を意識してアウトプットを頑張ろう。
では良いお年を〜。
20150707日記
・リブロ池袋店が閉店とのニュース。人文書といえばこの「リブロ池袋」か名古屋 千種の「ちくさ正文館」なのだそう。実は先週末、何気なく「ちくさ正文館」を初めて訪れた。なぜ今まで行かなかったのだろう。万華鏡のように辺り一面に置かれためくるめくばかりの本たちを眺めているだけで幸せだった。そして、アメトーク読書芸人放送以来、全国の書店から姿を消した禁断の書『教団X』をついに入手したった。
・現状維持で精一杯な日々だけども、この夏は何か一歩踏み出したい。それにしても次から次へとやるべきことが降ってきて、休みたいのに休めない。回し車に乗せられたネズミのようだ。
2015年上半期に読んだ本ベスト10
さてさて今年も半年が過ぎました。梅雨明けにはまだ少しかかりそうですが、外はしとしと雨の降り続くこの時期、お家で読書もいいですよね。
本日は上半期に読んだ本のベスト10をご紹介します。
『ニッポンの裁判』
前著 『絶望の裁判所』では、裁判官というエリートだけで構成された閉鎖的な官僚組織の闇が暴露され、読者に衝撃を与えました。絶望(略)の方は日本の裁判制度や裁判官の心理面に焦点を当てていました。一方で本書は、具体的な裁判の判決が挙げられ、法の番人である裁判官が、一人の人間としてどんな価値観をもち、何に左右されて判断しているのか。それは果たして妥当なのかと疑問を投げかけます。
『そして誰もいなくなった』
言わずと知れたアガサ・クリスティーの名作ですがちゃんと読んだことはなかったのです。アガサの推理小説は展開が斜め上すぎるのとかがあって、例えばオリエント急行殺人事件では容疑者全員が犯人というまさかのオチですが、この作品ではタイトル通り容疑者全員が死んで誰もいなくなります。はい。なんでそんなことがありうるのか?それは読んでのお楽しみということにしましょう。
『まなざしのレッスン 2西洋近現代絵画』
『まなざしのレッスン』は今の美術史を志す学生は必ず勧められると言ってもいいほど定番の入門書で、私も(美術史専攻ではないものの)学生の時に読みました。待望の続編が今年出ました。前回のように時代の流れに沿ってジャンルごとに章立てするのではなく、「空間と平面」「色彩と筆触」といったテーマごとに横断的に作品を紹介しつつ、近代絵画の源泉にある思想を読み解くといった感じでした。
『荒木飛呂彦論:マンガ・アート入門』
著者は映画が専門の京大の先生。とある映画批評誌に評論が載っていてこの先生を知ったのですが、肝心の映画はそっちのけで8割くらいはジョジョのベタ褒めで埋まっており、相当好きなんだなと思ったら、荒木マンガだけで一冊新書が出ていました。テキスト分析が自由自在で、題材がマンガであれ何であれこうやって読み解いていくんだと。同じオタクでも娯楽として消費するだけでなく、語れるオタクになりたいと思いました。
『フィレンツェ−初期ルネサンス美術の運命』
フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))
- 作者: 高階秀爾
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1966/11
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昨年のウフィツィ美術館展、そして今年はボッティツェリ展と最近は初期ルネサンス作品に触れる機会が多くあり、まさに初期ルネサンスを牽引したフィレンツェの歴史に興味が湧きました。芸術を花開いた背景には、金融業で富を築いたパトロンの存在や、当時は職人さん的位置づけだった画家がタテ(アトリエでの師弟関係)ヨコ(同業者組合)でつながる仕組みだったりがあったのだと。
『世間とは何か』
世間ほどうっとおしいものはないと思っているにもかかわらず、世間に揉まれている内にいつの間にか自分もよく分からない世間のルールで誰かを縛っていて嫌気が差したことも。ただこの本を読んで「世間」をメタなところから見ることで、自分の中の世間嫌いな「偏屈ジジイ」と少し向き合えるようになれたかなと思います。
『臆病者のための株入門』
今年はお金の管理や投資関連の本を読もうと決めて手に取った中の一つが本書です。はて、次に株が下がったときを狙ってまずはインデックスファンドから買ってみようか。
『わたしはコンシェルジュ』
NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」が結構好きでよく見るのですが、この本の著者であるホテルコンシェルジュの阿部さんの回は最近の放送では一番熱くなりました。どんな要望にも完璧に答えるのもすごいけれど、それ以上に会話でお客さんを乗せて、求めるものを自然に引き出してしまうところがかっこいい。阿部さんのことがもっと知りたいと思って読みました。
『コミュニティ 安全と自由の戦場』
コミュニティに受け入れられることは安心と活力を与えてくれるけれども、同時に自由を阻む足枷になっているというジレンマ。今後も考え続けたいテーマの一つです。
『項羽と劉邦』
現在進行形で読んでいます。会社にいると「ああこの人、仕事できるけど周りを頼れない項羽タイプだな」とか「なぜだか人を巻き込んですごいことを成し遂げちゃう劉邦タイプだな」とか密かに思ってしまいます。
20150604日記
・自転車の規制強化に関するあれこれ。自動車でも歩行者でもない中間的なポジションってのが自転車の自転車たる所以であって、そういうある意味グレーな部分が自転車を便利にしていると思うんですよね。白黒つけないとルールが浸透しないってのは分かるが、どっちつかずのあそびの部分を無くすことで、不便でつまらないものになってしまうことだってあるでしょう。なんて自転車に乗りながら考えていた。
・来週の京都旅行の予定を少しづつ立てる。家に帰ると西芳寺の参拝証が届いていた。前々から梅雨の時期の西芳寺は行ってみたいと思いつつ、ハガキで申し込みしないとだめとか参拝しないと庭に入れないとか、諸々のハードルがあって断念してたので、ベストな時期に行けることになってテンション上がってきた。