「デトロイト美術館展」

昨年10月にリニューアルした豊田市美術館にて開催中のデトロイト美術館展に行ってきました。

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デトロイトと豊田の共通点は?そう、「クルマ」のまちです。
フォード、GMクライスラーという名だたる自動車企業が拠点を置き、
工業都市として発展したデトロイトですが、2013年自治体が財政破産する危機を迎えます。
深刻な財政難により、収蔵品の売却の可能性もあったそうですが、美術館は何とか存続。
そんなデトロイト美術館のコレクションが海を渡り、今年姉妹都市55周年を迎える豊田市
やってきました。
 
近代美術の巨匠達による作品のオンパレードです。捨て曲なしのベスト盤を聴いているような
とにかくすごいのが集まってる展覧会でした。
 
印象に残ったのは、
まず、降りそそぐ光に照らされる鮮やかな花の色彩が目を引くモネの「グラジオラス」は
写真では絶対伝わらないので現物を見るべし。

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それから、ゴッホの2点。パリにいた頃の自信がうかがえる明るい色調の「自画像」。
また、それとは対照的に自殺する数週間前に描かれたという「オワーズ川の岸辺」は
青と緑の絵の具で塗りたくった重々しい木々と川が見るものを不安にさせ、
狂気を感じる1枚でした。
 
後は、セザンヌ!と言えば、果物の静物画ですが、今回出展の「サント・ヴィクトール山」も
繰り返し描かれたモチーフだそう。山そのものではなく山のイメージを描いた抽象的でクールな作品でした。
 

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そして、ドイツ表現主義はあまり知らなかったのですが、キルヒナー、ココシュカ、ベックマン等々すごく良かったです。特にココシュカの「エルサレムの眺め」は圧巻でした。
これだけ豊富な収蔵の背景には、デトロイト美術館の館長を務めたドイツ出身の美術史家
ウィリアム・ヴァレンティナーが当時まだ評価の定まっていなかったドイツ美術作品を積極的に収集したことがあるそうです。
 
何よりこれだけのものが豊田で見られるというのが感慨深い(しみじみ)
1枚1枚に見ごたえのあるとても濃密な展示でございました。