華麗なるジャポニズム展

観に行ってきました。
 
1853年の黒船来航から数十年経ったころ、
パリの美術界で日本文化が熱狂的に受け入れられました。
鎖国によって閉ざされ独自の文化を形成した当時の日本に対して、
ヨーロッパの人々は興味津々だったのでしょう。
 
この展覧会ではそんなジャポニズムの潮流にあって、
日本文化に影響を受けた画家たちの作品と
逆に影響を与えた浮世絵などの日本美術の両者が展示されています。
インスピレージョンを受けたとか新しい視点をもたらした
と言えば態が良いですが、あからさまに「パクっている」作品もあったりして面白いです。
元ネタとの比較を通じて共通点やどうアレンジを加えたのかというのも分かります。
 
見どころは何と言っても、ジャポニズムを代表する作品、モネの『ラ・ジャポネーズ』でしょう。
鮮やかな赤の羽織をまとった金髪の女性はモネの妻カミーユ
彼女は褐色の髪ですがあえて金髪のかつらを被せることで、
東洋と西洋の混在する違和感を演出したそうです。
扇子・団扇・御座と日本のものが散りばめられ、モネの日本への興味がうかがえます。
 
本展では「女性」「シティライフ」「自然」「風景」といった切り口から展示していますが、
個人的にいいなと思ったのは「シティライフ」のコーナー。
日本・歌川国貞の大相撲に対抗するのは、西洋・ドガのカフェ・アンバサドゥールのベガ嬢でしょうか。
スポーツ・演劇・カフェなど当時の娯楽を描いた作品群から
その時代の空気が伝わってきてとても楽しめました。
当時、都市の日常生活はあまり絵画のテーマにならなかったそうですが、
日本の浮世絵をヒントに、市民の娯楽が描かれるようになったそうです。
浮世絵は、文字通り浮世を描いた風俗画ですが、
西洋では日常を描くという観点自体が新鮮だったんですね。
 
ジャポニズムが流行った時代から1世紀以上が経過したいま、
日本の文化はアニメやゲームなどのオタクカルチャーとして
世界に熱狂的に受け入れられているからなんだか不思議です。
浮世絵にしてもアニメにしても、ある種の閉鎖的なコミュニティが
生み出した大衆向けのコンテンツというのは共通していて、
それが全然土俵の違う外国からクールだって褒められちゃう訳ですからね。
 
とは言え、日本人が作るもの→それを見て影響を受けた外国人が作るものは
それはもう全く別ものであって、後者を見ることではじめて
外からどう見られているのかに気づかされることもあります。
(話題のベイマックスも狙ってる感はありますが、そこが面白いですよね)
そうした両者を比較して見られるというのがこの展覧会の醍醐味だと思います。
ということで、ベイマックスもいいですが、ラ・ジャポネーズも見逃せないです。